小児外科の病気
Pediatric surgery illness
Pediatric surgery illness
おちんちんの皮についてのお話しです。
おちんちんは、内側にある亀頭を包皮が覆うような作りになっています。
包皮が剥けない状態や包皮を剥いても亀頭の全体が出せない状態を包茎と呼びます。
生まれたばかりの子どもや乳幼児で包皮が剥けないことは当たり前です。
生まれたときに包皮と亀頭は癒着しており、成長するにつれて亀頭と包皮は剥がれてきて包皮を剥けるようになります。
完全に剥がれて剥くことができるようになるまでには個人差がありますが、概ね4~5歳で亀頭まで剥けるようになります。
ただし、個人差があるため年齢だけで治療が必要かどうかは難しく、
包茎に関連する症状や他の病気の状況や本人の意思も含めて治療を進めていく必要があります。
亀頭露出の程度が自然経過(年齢相当)の範囲内
生理的包茎の経過 | |
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新生児期 | 外尿道口の露出は困難(まだできなくて「正常」です) |
1才前後 | 外尿道口全体が見える |
2才前後 | 亀頭の20%部分が見える |
7歳以上 | 亀頭の50%部分が見える |
先ほどの年齢相当の自然経過から逸脱していて、亀頭露出を認めていない包茎では、 以下のような症状に気をつける必要があります。
包茎自体は病気ではありませんが、包茎によって以下のような症状や病気につながることもあります。
乳児期 | |
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尿路感染症尿道に細菌が侵入して腎臓や膀胱で炎症を起こす。 |
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幼児期 | |
おしっこをする時に包皮が膨らむ(バルーニング現象)包皮口が狭く排尿時に包皮の内側におしっこが溜まり風船のようにおちんちんの先が膨らむ。 |
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おしっこが飛び散る、2方向以上に散らばる(尿線不良)包皮の状態によっておしっこが思った方向と異なる方向に飛んだり、シャワーのように飛び散る。 |
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皮がかゆい・汚れている(亀頭包皮炎)おちんちんの先が腫れて赤くなる。痛みを感じたり、包皮から膿が出ることもあります。 |
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おしっこするときに痛がる |
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思春期 | |
痛み成長してから勃起時に包皮が剥けず突っ張った状態になり、陰茎が痛くなることがある |
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皮がひっかかって痛い(嵌頓包茎) |
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成長とともに自然に剥けていくことが多いので、ほとんどの場合には治療の必要はありません。
ただし、おしっこをするときに包皮が風船のように膨らんだり、おしっこが飛び散ったりする状況にお悩みの場合や、
股間をよく掻いたり触ったりしていたり、おちんちんをよく痛がっている場合には、対応法について相談することをお勧めします。
入浴時に包皮を少しずつ伸展させるようにしていきます。陰茎の根元側にやさしくたぐりあげるようにします。
包皮の先端をボディーソープの泡で洗浄しながら少しずつ伸展させることを日々繰り返すことで、徐々に尿道口が見えるようになってきます。
この際、一気に伸展させすぎないようにしましょう。
無理やり剥くと激痛が走ったり、嵌頓包茎になったりしますので、少しずつ無理なくやっていきましょう。
日々のケアであまり改善がみられないようであれば、一時的にステロイドの入った軟膏を塗って治療していきます。
当院でも軟膏治療の実施や家庭での実施方法の指導を行っていますので、まずはご相談ください。
包皮を円環状に切除して亀頭を露出させやすくします。
包茎は自然に治っていくので緊急性は低く手術を行うことはあまりありません。
小児外科の先生のいる病院でご相談できるようにご紹介します。
嵌頓(かんとん)包茎
包皮が剥けた状態で亀頭の根本を締め付けている状態。 嵌頓は放っておくと数時間で亀頭が腫れて痛みを感じたり、 包皮が壊死することもあるので緊急受診するようにしましょう。
・真性包茎:包皮が剥けず尿道口(おしっこが飛び出す部分)が見えない状態
・仮性包茎:尿道口が見えるが亀頭が完全には剥けない状態
または包皮を剥くことができるがしばらくすると包皮を被った状態に戻る